エグゼクティブ・サマリー
- 販路は「誰が売るか」ではなく「誰が現場を立ち上げ、誰が保守するか」で設計する。 ロボットの価値は据え付けて稼働させた後に生まれるため、販売とデリバリーと保守を切り離して役割を決める。
- 製品の成熟度で販路を変える。 用途が固まっていない段階では直販で現場の知見を集め、標準構成ができてからSIer・代理店に広げる。早すぎる代理店展開は、失敗事例を量産する。
- パートナーに渡すのは製品ではなく「売れる型」である。 標準構成、見積の雛形、PoCの手順書、導入事例、トラブル対応表がそろって初めて、パートナーは自力で売れる。
- 案件の取り合いは登録制度で防ぐ。 案件登録、保護期間、直販との境界を契約で決めておかないと、最初の大型案件でパートナーとの関係が壊れる。
- パートナーの数より、自走できるパートナーの数を追う。 認定制度、技術研修、共同商談の段階を設計し、年に数件の案件を自力で立ち上げられるパートナーを着実に増やす。
ロボットメーカーやロボットスタートアップが最初の数十台を売り切った後に直面するのが、販路の壁である。創業メンバーや営業責任者が自ら顧客を開拓し、エンジニアが現場に張り付いて立ち上げる体制は、数十件までは回る。しかしそれ以上は人が足りない。そこで販売代理店やSIerとの提携を急ぐと、今度は「売ってくれない」「売ったが現場で動かない」「保守の問い合わせがすべて自社に戻ってくる」という問題が出る。原因の多くは、販路を「販売網」と捉え、現場への組み込みと保守を誰が担うかを設計していないことにある。本稿は、ロボットを作る側の事業者が、直販とパートナー経由をどう組み合わせ、どう契約し、どう育てるかを扱う。事業立ち上げの全体像はロボットビジネスの始め方を、SIer側の収益構造はロボットSIerという事業を併せて参照されたい。