廃棄物・リサイクル選別の自動化——不定形物・粉塵・変動負荷の現場にロボットをどう入れるか

No.55Waste & Recycling·業種別·約14分·全7ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • 廃棄物・リサイクルの選別現場は、不定形物・粉塵と異物・入荷量の変動という三条件が同時に成立する。製造業や物流の自動化手順をそのまま持ち込むと、要件定義の段階で前提が崩れる。
  • 最初に自動化すべきは「人が一番つらい工程」ではなく、対象物の種類が絞れていて、後段への影響が測れる工程である。ここを取り違えると、難易度が最も高い場所からPoCを始めることになる。
  • 選別ロボットの成否は、ロボット本体よりも前段の供給(単層化・整列・流量の平準化)でほぼ決まる。供給が乱れたままの導入は、どの方式を選んでも捕捉率が上がらない。
  • 効果は人員削減だけで積んではいけない。有価物の回収率向上・残渣処分費の削減・ライン停止の減少・労働環境の改善の四方向から積むと、投資判断が現実的な水準に届く。
  • PoCで最も揉めるのは精度の定義である。捕捉率・純度・処理速度の三つを、どの母数で・誰が・どう測るかを契約前に文書で固定しておくこと。ここを曖昧にしたPoCは、必ず「成功とも失敗とも言えない」結末になる。

廃棄物・リサイクルの選別ラインを見学すると、他の業種とは明らかに条件が違うことがすぐ分かる。ベルトコンベヤの上を流れてくるのは、形も大きさも汚れ方もばらばらの物である。粉塵が舞い、季節や曜日で入荷量が倍近く振れる。人手不足は深刻で、採用も定着も難しい。自動化の必要性という点では、これほど条件が揃っている業種は多くない。

にもかかわらず、実際の導入は進みにくい。理由は「難しいから」ではなく、他業種向けに整理された自動化の手順が、この現場の前提に合っていないからである。整列された同一形状のワークを前提にした要件定義も、清浄環境を前提にした機器選定も、平準化された生産計画を前提にした投資回収の計算も、そのままでは使えない。本稿では、この現場に合わせて手順を組み直す。

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