エグゼクティブ・サマリー
- 無人稼働の価値は「稼働時間の延長」にある。 昼8時間しか動かないロボットを夜も動かせれば、同じ機体で生み出す量が増え、投資回収の計算が根本から変わる。
- 昼に安定していることは、夜に無人で動ける証明にならない。 昼は人が無意識に直している小さな異常が、夜は誰にも直されずに積み上がり、朝には止まっている。
- 無人稼働は4条件に分解して設計する。 「材料と払い出し先の持ち時間」「異常からの自己回復」「遠隔での状況把握と判断」「安全側への確実な停止」のどれか1つでも欠ければ成立しない。
- 一晩で無人化しない。 「人が残る延長稼働」→「見守り付きの無人時間」→「完全無人の短時間」→「夜通しの無人」と、段階ごとに止まった理由を潰しながら無人時間を延ばす。
- 夜間に止まったら誰が何分で何をするかを先に決める。 呼び出しをかけるのか、朝まで止めておくのかの判断基準がない無人稼働は、担当者の私生活を削って成り立つことになり、長続きしない。
ロボットを導入した企業から、稼働が安定した後に必ず出てくる相談がある。「夜も動かせないか」である。人の採用が難しい中で、機械は疲れない。昼の稼働で投資判断をした案件でも、夜と休日を足せれば回収期間は大きく縮む。経営層がそれを期待するのは自然なことである。
ところが実際に夜間無人運転を始めると、多くの現場が同じ経過をたどる。初日の夜は動く。数日のうちに、朝来ると止まっている日が出てくる。止まった時刻を調べると深夜の早い時間で、残りの数時間は何も生み出していなかった。原因を調べると、昼なら作業者が通りがかりに直していた小さな詰まりや位置ずれだった。こうして「夜は止まるもの」という認識が現場に定着し、無人稼働は立ち消えになる。
本稿は、この経過をたどらないために、無人稼働を導入7工程のどこで何として設計すべきかを整理する。対象は工場のセル、倉庫の搬送・ピッキング、検査・ラボ設備など、夜間に人を置かずにロボットを動かしたいすべての現場である。