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試作は動いた、量産で詰まる——ロボット製品の量産設計とサプライチェーン

No.53Mass Production·事業・投資·約12分·全7ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • ロボット事業が止まる場所は、技術の壁ではなく「一台は作れるが、百台を同じ品質で作れない」量産の壁であることが多い。デモ機の完成度と量産準備の進捗は、まったく別の指標である。
  • 試作機は「動けば成功」だが、量産機は同じ手順で誰が組んでも同じ性能が出ることが要件になる。この要件差を設計に反映しないまま台数を約束すると、組立時間と手直しが原価を食い潰す。
  • 量産で最も高くつく失敗は部品の生産中止(EOL)と単一調達先である。設計段階で代替品を確保していない部品は、後から必ず設計変更・再認証・再検証のコストとして返ってくる。
  • 内製・EMS(受託製造)・ODMの選択は、コストではなく「品質責任と設計変更のスピードを誰が握るか」で決める。初期ロットの品質は、委託先の能力より発注側の図面・検査基準の精度に左右される。
  • 量産投資は勢いで決めない。受注残・原価の実測・部品リードタイム・資金の回収時点の四点が揃った時点で踏むゲートを、事前に定義しておくこと。

ロボットの事業化支援で相談を受けるとき、最も多い相談は「良い機体はできた。ここから量産をどう進めればいいか分からない」というものである。技術者は揃っている。デモも動く。引き合いもある。それでも出荷が始まらない、あるいは出荷が始まった途端に赤字が膨らむ。

原因は共通している。試作を成立させる能力と、量産を成立させる能力は別物であり、後者は設計・調達・品質・サービスの四つを同時に設計する仕事だからである。しかも量産準備は、受注が見えてから始めると必ず間に合わない。本稿では、ロボットハードウェアを製品として世に出そうとする事業者が、量産に入る前に何を決めておくべきかを整理する。

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