保守・稼働管理——止まらない運用をつくる

Maintenance & Uptime·定着・運用·約13分·全7ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • ロボットの停止時間のうち、部品が壊れて止まっている時間は一部でしかない。 多くは、環境が変わった・置き方が変わった・上流の作業が遅れた・エラー復帰の手順を誰も知らない、という「壊れていないのに動いていない」時間である。保守を部品交換の話だと定義した瞬間に、現場の実感と数字が合わなくなる。
  • 保守契約は「何が含まれるか」ではなく「何が含まれないか」から読む。 消耗品、通信費、ソフトウェア更新、レイアウト変更に伴う再設定、他社機との連携部分——ここは標準契約から外れていることが多い。外れている項目は、必ず誰かが年に何度か費用を払うことになる。
  • 保守体制は3層で設計する。 一次=現場のオペレーターが5分以内に復旧させる範囲、二次=社内保全またはSIerが当日中に対応する範囲、三次=メーカーの部品交換・修理。どこまでを一次に置くかが、稼働率をほぼ決める。
  • 稼働率という一語で議論しない。 可用率(動けた時間の割合)・MTBF(平均故障間隔)・MTTR(平均復旧時間)を分けて測る。可用率が同じ90%でも、「月1回8時間止まる」と「毎日20分止まる」は、打つ手がまったく違う。
  • 保守は「勘」から「データ」へ移す準備を、導入時に済ませておく。 停止ログ・エラーコード・稼働時間を取れる状態で受け入れなければ、後から予知保全にもデータ活用にも進めない。配線と権限は、稼働してからでは取り直しが利かない。

ロボットを導入した現場が半年後に直面する問いは、「動くかどうか」ではなく「動き続けるかどうか」である。導入プロジェクトは検収で終わるが、運用は終わらない。そして運用の巧拙は、ほぼ保守設計の巧拙で決まる。

やっかいなのは、保守が「壊れたら直す」という受け身の作業に見えることだ。実際には、保守設計とはどの停止を誰が何分で戻すかをあらかじめ決めておく作業であり、その大半は導入前の要件定義と契約交渉で決着している。稼働が始まってから体制を組み直すのは、費用も時間も何倍もかかる。

RobiZyはロボットを売らないNPO法人であり、特定のメーカーやSIerの立場を持たない。だからこそ、保守契約の行間——誰の負担で、何時間以内に、どこまでを戻すのか——を、ユーザー側の視点で読み解く支援ができる。本稿では、導入した設備を「止まらない運用」に載せるための設計を、契約前に決めるべき順序で整理する。

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