PoC(実証実験)の設計と評価——「動いた」で終わらせない

PoC Design·導入プロセス·約10分·全8ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • PoC(Proof of Concept/実証実験)は、投資判断に必要な情報を得るための手段である。「ロボットが動くこと」の確認ではない。
  • 最も多い失敗は、成功基準を決めずに始めることだ。「どの数字が、どの水準を超えたら本番に進むか」を開始前に文書で決める。
  • 理想条件でのPoCは「成功」で終わり、本番で破綻する。あえて悪条件——繁忙期の物量、イレギュラーな対象物、人が行き交う状況——を含める。
  • 複数機種を比較するなら、同一条件・同一測定方法でなければ比較にならない。各社が用意した条件でのデモを並べても意思決定はできない。
  • 評価レポートには「動いた/動かない」ではなく、サイクルタイム・稼働率・例外発生率・人の介在時間・想定運用コストを記載する。

PoCは何のための工程か

PoCの目的を一文で書くなら、こうなる。

本番投資を実行してよいかどうかを判断するために必要な情報を、最小の費用と期間で取得すること。

この定義から、いくつかのことが導かれる。

第一に、PoCの成功とは「情報が取れたこと」であって、「ロボットが動いたこと」ではない。むしろ「この条件では成立しない」と分かったPoCは、数千万円の誤投資を防いだという意味で、大成功である。ところが実務では、動かなかったPoCは「失敗」と扱われ、担当者が責任を問われることがある。この評価構造が、理想条件でのPoCを生む温床になっている。

第二に、情報の取得先が明確でなければならない。何を知りたいのかが決まっていなければ、何を測ればよいかも決まらない。だから成功基準の先決めが要る。

第三に、最小の費用と期間という制約がある。PoCに数か月と数百万円をかけるなら、その分本番導入を前倒ししたほうがよいケースもある。PoCの規模は、判断に必要な情報の量に見合わせる。

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