海外製ロボットを日本の現場で使う——輸入・法適合・サポート・部品供給の詰め方

No.57Import & Compliance·導入プロセス·約15分·全9ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • 海外製に手を出していい条件は二つだけである。国内に同等機が存在しない工程か、国内機の半分以下の価格で同じ成果が出る工程か。「海外では普通に使われているらしい」は条件ではない。
  • 破綻は導入時ではなく二年目に来る。立ち上げは商社やメーカーの技術者が張り付くので動く。問題は、張り付きが終わり、部品が摩耗し、制御ソフトが更新され、担当者が交代した後である。
  • 適合は四つに分けて潰す。機械としての安全、電気、電波、そして設置環境(電圧・周波数・気温湿度・床)。海外の適合マークは日本国内での適法性を保証しない。
  • 誰が輸入者になるかで責任の位置が変わる。代理店経由・直輸入・現地法人経由の三類型で、不具合時に誰が直し、誰が責任を負うかが変わる。直輸入の価格メリットは、責任を自社に引き取った対価である。
  • 見積もりの本体価格は総額の六割前後にしかならない。輸送・設置・適合対応・通訳を含む立ち上げ支援・予備部品・年間保守を積み上げて初めて、国内機との比較が成立する。

海外製ロボットを検討する動機は、たいてい切実である。必要な工程に国内メーカーの該当機がない。あるいは機能は同等なのに価格が国内機の半分で、展示会で見た動画では軽々と動いていた。実際に、特定の工程に特化した機体や、新しい方式のハンドリング機構は、海外の専業メーカーが先行している領域がある。選択肢に入れないのは機会損失である。

一方で、海外製の導入で失敗した現場の話を聞くと、失敗の中身はほぼ共通している。買ったこと自体が誤りだったケースは少ない。多いのは「買った後の三年間を設計しなかった」ケースである。立ち上げまでは売り手が全力で支援するので、大半のプロジェクトは一度は動く。問題はその後に、国内機なら当たり前に存在する前提——電話一本で翌日に部品が届く、保守員が日本語で来る、十年後も同じ型の基板が買える——が成り立たないことに気づく局面である。本稿は、海外製を「選ばない理由」を並べるためのものではない。選ぶ場合に、買う前の段階で何を紙に落としておけば三年持つのかを、導入企業側の実務として整理する。

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