研究所・品質管理ラボの自動化——前処理・分析・記録をロボットにどう任せるか

No.61Lab Automation·業種別·約14分·全8ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • ラボの人手は分析装置の中ではなく「装置の間」にある。 秤量・分注・容器の開閉・搬送・結果の転記が工数の大半を占め、自動化の対象はここである。
  • 最初にやるべきは装置選びではなく、業務を「工程×例外」で棚卸しすることである。 定型の9割より、残り1割の例外(再測定・異常検体・急ぎ依頼)が自動化の成否を決める。
  • 全自動ラインと卓上ロボットは競合ではなく守備範囲が違う。 検体数が多く手順が固定なら全自動ライン、手順が頻繁に変わるなら卓上ロボットと人の分担が向く。
  • ラボ自動化の本当の成果物はデータである。 装置連携と記録の設計を後回しにすると、ロボットが動いても転記とダブルチェックが残り、工数は減らない。
  • 信頼性保証・品質保証部門は構想段階から入れる。 手順変更の承認、バリデーション、記録の真正性を後から通そうとすると、稼働が数か月単位で遅れる。

ラボの自動化は「分析の高速化」ではない

研究所や品質管理ラボで自動化の相談を受けると、最初に出てくるのは「分析装置をもっと速いものに替えたい」「オートサンプラーを増やしたい」という話であることが多い。しかし現場で作業を1日追いかけると、分析装置そのものが律速になっている場面は意外に少ない。装置は夜間も回せるし、オートサンプラーはすでに入っている。人が張り付いているのは、その手前と後ろである。

具体的には、検体を受け取って台帳と照合する、容器のキャップを開ける、秤量して溶媒を加える、振とう・遠心・ろ過をする、バイアルに移してラベルを貼る、装置にセットする、結果を出力して記録簿や基幹システムに転記する、そして別の担当者がそれをダブルチェックする——この一連の「装置と装置の間」の作業が、担当者の時間の大部分を占める。

したがってラボ自動化の設計対象は、個々の装置ではなく、検体が受付から結果報告まで流れる一本の工程である。この視点を持たずに装置単位で投資すると、速くなった装置の前に検体が溜まり、後ろに転記作業が溜まる。本稿では、この工程全体をどう分解し、どこからロボットに任せ、データをどう繋ぐかを、RobiZyが導入7工程の枠組みで伴走する際の手順に沿って整理する。

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