現場を動かすチェンジマネジメント

Change Management·定着・運用·約15分·全6ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • 導入が頓挫するとき、原因の大半は機械ではなく人と組織の合意形成にある。技術課題は解決策が存在するが、合意形成は放置すると自然悪化する。
  • 現場の抵抗は感情ではなく情報である。抵抗の中身を分解すると、8割は設計の欠陥・情報の不足・役割の不明確のいずれかを指している。
  • 全員を賛成させようとしない。現場は賛成層・様子見層・反対層のおおむね2:6:2に分かれる。動かすべきは中間の6割であり、そこに効くのは説得ではなく目に見える成功体験である。
  • 最も強い不安は「自分の仕事がなくなるのではないか」である。ここに明示的に答えないまま進めると、他のすべての説明が信用されない
  • 稼働開始は終わりではなく最も繊細な時期である。稼働前90日と稼働後90日のコミュニケーション計画を、導入計画と同じ精度で設計する。

なぜ「正しい導入」が現場で拒まれるのか

投資対効果は妥当で、機種選定も適切で、システム連携も設計どおり動く。それでも現場で使われない導入がある。

現場の視点に立てば理由は単純である。ロボット導入は、現場にとって業務の変更命令として届く。慣れた手順が変わり、新しい操作を覚え、エラー対応という新しい仕事が増える。効果として語られる「年間1,200時間削減」は会社の利益であって、目の前の作業者の利益ではない。むしろ短期的には、作業者にとって負担が増える局面が確実に存在する。

さらに、多くの現場は過去に一度は失敗を見ている。「前に入れたシステムも結局使わなくなった」という記憶があると、新しい取り組みはやり過ごす対象になる。積極的に反対しなくても、静かに従来手順へ戻せばよいことを現場は知っている。

したがってチェンジマネジメントの出発点は、現場を説得することではない。現場にとっての損得を正しく把握し、設計に反映することである。

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