現状業務を測ってから自動化対象を決める——作業分解・タイムスタディ・ばらつき調査の進め方

No.66As-Is Measurement·導入プロセス·約14分·全10ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • ロボット導入の対象工程は、実測ではなく「忙しそう」「人が足りない」という印象で決まることが多い。印象で選んだ工程は、PoCで効果が出ないか、出ても比べる基準がない。
  • 現状調査の目的は「現場を知ること」ではなく、自動化した後と比べられる基準値(ベースライン)を作ることである。基準値のない導入は、効果を説明できない。
  • 測るべきは平均時間だけではない。ばらつき・例外・待ち時間・判断の発生箇所こそが、ロボットに任せられるかどうかを決める。平均だけ見るとロボットに向いた工程に見え、例外で破綻する。
  • 作業は「工程→作業→動作」の三階層に分解し、ロボット化の検討は「作業」の単位で行う。工程単位では粗すぎて機種が決まらず、動作単位では細かすぎて業務が見えなくなる。
  • 現状調査は2〜4週間・特定の工程に絞って行えば十分な材料が揃う。全社を測ろうとすると終わらない。測定結果は、構想策定・要件定義・PoC評価・定着後のKPIまで一貫して使う。

ロボット導入の相談で最初に聞くのは「どの工程を自動化したいか」である。返ってくる答えはたいてい明確だが、その根拠を尋ねると、「一番人手がかかっているから」「現場から要望が出ているから」「他社がそこを自動化しているから」といった答えが多い。その工程に1日何時間かかっているのか、作業ごとの時間はどれくらいばらつくのか、例外はどの頻度で起きるのか、という問いに数字で答えられる企業は少ない。

数字がないまま進むと、何が起きるか。機種選定ではメーカーのカタログ値と比べる相手がなく、PoCでは「動いた」以上の評価ができず、本格導入の稟議では効果を仮定で書くしかない。導入後に「思ったほど楽にならない」という声が出ても、導入前がどうだったのかを示せない。本稿は、この空白を埋める「現状業務の実測」の進め方を、構想策定に入る前の実務手順として整理する。

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