複数台AMRの群制御とフリート管理

Fleet Management·導入プロセス·約15分·全8ページ

エグゼクティブ・サマリー

  • AMRの導入で最も多い誤算は、1台のスループットに台数を掛け算して計画してしまうことである。実際には台数の増加とともに1台あたりの生産性は逓減し、ある台数を超えると総搬送量そのものが伸びなくなる。
  • 逓減の原因は機体側にはほとんどない。通路幅・退避スペース・充電器の位置・エレベーターや自動ドアの待ち行列・上位システムとの通信頻度という、現場側とシステム側の制約が先に飽和する。
  • 群制御は一枚岩ではなく、①経路計画(どの道を通るか)②交通調停(誰が先に行くか)③タスク割付(誰がその仕事を取るか)の3レイヤーに分けて設計する。トラブルの切り分けはこの3層のどこで起きたかを言えるかどうかで決まる。
  • 充電は「余った時間に行う作業」ではなく搬送計画と同格のスケジュール対象である。充電計画を後回しにしたフリートは、繁忙ピークの直前に一斉に充電へ向かうという最悪の挙動を示す。
  • 異機種・異メーカーのAMRを混在させる場合、調停の主権をどこに置くかを契約前に決める。ここが曖昧なまま複数社を並べると、障害時に責任の所在が定まらず、現場が人手で交通整理する運用に戻る。

複数台のAMR(自律走行搬送ロボット)を運用する現場は、この数年で確実に増えた。1台や2台の実証は各所で成功しており、機体そのものの走行性能・安全性能はすでに実用水準にある。にもかかわらず「10台入れたのに期待した搬送量にならない」「時間帯によって極端に遅くなる」という相談が絶えない。原因はほぼ共通していて、機体を選ぶ検討には時間をかけた一方で、複数台が同時に動いたときに何が起きるかを設計していないという点にある。

本稿は、AMRの群制御とフリート管理を、ロボットを売らない中立の立場から実務手順として整理したものである。特定のメーカーやフリート管理ソフトウェアを推奨するものではなく、どの製品を選ぶにせよ発注側が自ら決めておくべき論点を扱う。

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